フランスでは、4ヶ月以上働くと最長2年の失業保険(手当)が適応されるというケースがある。
日本では原則として「90日~360日間」失業保険が支給されるという決まりがある。最長で約1年だ。しかし、ほとんどの場合が最低の90日間に設定される。
両者を比べると、フランスの失業保険の手厚さに驚きを隠せない。
フランスでは長く同じ会社に勤めている人より、短期間で会社を辞めて生活している人の方が、自由があって人生が楽しいという意見がある。
対して日本では、出来る限り同じ会社で長く勤めた方が幸せという意見がほとんどだ。むしろ、職を転々としている人は、収入が不安定になり不自由な生活を余儀なくされるという風潮が根付いている。転職活動中に無職という事態ともなれば尚更だ。
両者の人生観の違いは、失業保険の手厚さが大きく関係している。
いったいフランスでは、どれだけの失業手当が受給されるのか。
フランスの平均年収をもとに、最大値(最長2年)を割り出してみた。
フランスの平均年収は344万円
フランスで働いている人の平均年収は日本円に換算すると344万円だ。(2015年調べ)
はっきり言って、これは経済大国の中ではかなり低い額と言える。
しかし、フランスでは労働時間が短い(生産性が高い)ので、時給換算すると高給になる。
フランス人は日本人のおよそ半分の時間しか働いていないとも言われている。
年収の額面だけで、幸福度が決まるわけではないということが良くわかる。
フランスの失業保険で貰える額がこれだ(最長の2年で計算)

フランスの失業保険は手厚い…
フランスの失業保険受給額の計算方式は以下
- 前職の月収÷30日×40.4%+11.34ユーロ
- 前職の月収÷30日×57.4%
このどちらかの計算方式で高い方が受給額として採用される。
ユーロのレートは変動するので、②の計算方式に平均年収の344万円(月収約29万)を当てはめると
29(万:月収)÷30(日)×57.4%=5548円 となる(小数点切捨での計算)
これを2年…つまり720(日)で掛けると…
5548×720=3994560
…つまり、399万4560円… 実に最低でも400万円ほどの失業手当を受給できるということになる。単純計算で月16万円ほどだ。
当然のことながら、前職の月収が高くなればなるほど、この数値は上がる。
そのため、フランスでは失業から1年以上経過した後に、じっくりと就職活動を始めるというケースも多いとのこと。
フランスで失業保険を貰う条件
日本に比べるとフランスの失業保険は手厚い仕組みとなっているが、もちろん失業した全ての人が、そこまで手厚い手当を受給できるという訳ではない。
補足として、フランスで失業保険を貰うための条件を載せておこう。
- 雇用主から解雇される
- 働いていた会社が倒産する
- 労使合意による労働契約の破棄を結ぶ
- 夫(妻)が遠地で働いている等の理由により、土地を移るためのやむを得ない辞職
- 期限付き労働契約の終了(4ヶ月以上であること)
フランスで失業保険を受給するには、上記のいずれかの失業条件を満たす必要がある。
それに加え、失業時点から28ヶ月間の間に122日以上(4ヶ月)勤めているか、610時間以上の労働実績があることが条件。(50歳以上は36ヶ月の間)
簡単なポイントとして、「自己都合」と「4ヶ月未満の期限付き労働契約の終了」での退職では失業手当が貰えないということ。
また、最長で2年間手当が貰える訳だが、そのためには失業前の2年間(28ヶ月間)に122日以上(もしくは610時間以上)働いた実績が必要。
つまり、失業前の2年間の間に…
- 3ヶ月間しか働いていない→失業手当は貰えない
- 6ヶ月間働いた実績がある→6ヶ月分の失業手当が貰える
- 24ヶ月働いた実績がある→最長の2年間分の失業手当が貰える
ということだ。
何にせよ、日本の失業手当との差があまりにもでかい。
日本人の仕事に対する生産性が低いと言われる根源は、失業保険の仕組みにあるのかもしれない。